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2017.07.12

八重洲にある、時計修復のレジェンドは歯車を復活させる

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文/広田雅将(クロノス編集長)
東京の八重洲に、ゼンマイワークスという時計の修理工房がある。日本には優れた修理屋さんが多いが(日本の時計師の質は、スイスと並んで最高峰といわれている)、ここはふたつの点で、他と少し異なっている。
 
ひとつは、間口が広いこと。社長の佐藤努さんは凄腕の時計師だが、実に気さく。そのためいつもお客さんがいる。

筆者も時々立ち寄るが、大変な時計マニアがいると思えば、電池交換に来た、普通の人がいたりする。修理屋さんと聞くと敷居が高そうに思えるが、全然そんなことはないのである。
そしてもうひとつは、外装の仕上げもやってくれること。ゼンマイワークスは、もともとパテック フィリップやショパールを取り扱っていた、一新時計の修理部門の人たちが立ち上げた会社だ。そのため普通、修理屋さんがやりたがらないケースやブレスレットの再仕上げも得意であるうえにそのレベルは極めて高い。
とはいえ、ゼンマイワークスの強みは、間口の広さや外装仕上げ以上に、徹底したメンテナンスにある。例えばムーブメントの部品を留めるネジ。ゼンマイワークスでは、こういったネジの頭を、亜鉛の板を使ってぴかぴかに磨き上げていく。これはいわゆる超高級時計の仕上げで、修理の際に施されることは希だ。

ではなぜ、ゼンマイワークスではすべてのネジにこういう仕上げを与えるのか。ネジを丁寧に磨くのは、時間もコストもかかるように思えるが?
 
佐藤さん曰く、その理由は「ネジがちゃんとしていれば、きちんとしたメンテナンスを受けたことがわかるから」。つまり、次に時計を直す時計師への、無言のプレッシャーというわけだ。もちろん、ネジが笑わないよう、丁寧にドライバーを使えばこその、鏡面仕上げである。
さらに圧巻なのは、歯車の欠けた部分を作れること。いわゆるアンティークウォッチを修理する場合、足りない部品は基本的にドナーから移植する。しかし昔の懐中時計や、レアな時計では欠品が少なくない。

文字盤やケースといった外装は直せる場合が多いが、ムーブメントの部品がなければ、時計は動かない。そこでゼンマイワークスでは、時々欠けた歯を埋めるという。正直、修理費も時間もかかるが、どうなっても直せるというのは心強い。
 
また、ゼンマイワークスでは、修理の過程をきちんと記録している。これも手間だが、どう修理されたかわかるのはありがたいことだ。
 
ではそんな佐藤さん、よほどの時計マニアなのかというと、腕時計にはさして興味がないという。「時計を直すのは大好きだけど、時計自体に興味はありませんね」。ともあれ、八重洲にある名店、ゼンマイワークス。時計に関するよろず相談所を目指しているそうなので、時計で困ったら是非お立ち寄りあれ。
●佐藤 努
1968年大阪生まれ。1989年より一新時計株式会社サービス部に勤務。その間にパテック・フィリップ、ショパールなどの海外研修を受ける。2014年ゼンマイワークスを始動。現在、代表取締役社長。

ゼンマイワークス

2014年からスタートした時計修理会社。修理の腕は都内随一、いや世界でも屈指のスキルを誇ります。
依頼の場合、予約いただけるとスムースです。
 
住所/東京都中央区八重洲2-11-7一新ビル2階
営業時間/10:30-12:30、13:30-18:00
URL/
問い合わせ/☎︎03-6262-3889

●広田雅将(クロノス編集長)

1974年 大阪府出身。時計専門誌『クロノス日本版』編集長。サラリーマンを経て2004年からフリーのジャーナリストとして活躍。2016年より現職。関連誌含め連載を多数抱える。

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