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2017.07.12

ひと目でわかる超高級時計、音色でわかる超高級時計

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文/高木教雄(ライター)
テンプと脱進機を収めたキャリッジが回転する様子を、ダイヤルに見せる──トゥールビヨンは数ある時計の複雑機構の中でも、こと見栄えの良さでは、群を抜きます。それを考案したのは、今のブレゲの創業者であるアブラン・ルイ=ブレゲ。稀代の天才時計師と称賛される彼は、重力がテンプに及ぼす悪影響に着目しました。
 
時をカウントするテンプの振動は、その中心軸が垂直ならば安定しますが、傾くと重力の影響で不安定になります。天才時計師は、キャリッジを回転させることで、そこに収めたテンプに掛かる重量方向を次々と変え、悪影響を平均化させようと考えたのです。ウーン、何とも頭がいい。

1801年、特許を取得したブレゲのトゥールビヨン展開図

現代のブレゲが製作する、トゥールビヨンの展開図。内部にいくつものパーツが積み重なるキャリッジを安定して回転させるために、完璧な重量バランスが求められます。
現代のブレゲもトゥールビヨンを得意とし、その展開図を見ると、多くのパーツが幾層にも重なり、複雑だと実感させます。これを動かす仕組みは、初代ブレゲが1801年にこの機構で特許を取得した際、提出した機構説明図を見ると分かりやすい。

初代ブレゲが考案したトゥールビヨンの動く仕組み

初代アブラン・ルイ=ブレゲが、トゥールビヨンの特許申請諸に添えた機構説明水彩画。基本的な構造は、現在のトゥールビヨンも同じ。
Bがキャリッジで、Eはその回転軸。図では省略されているけれど、キャリッジの中にはEとの同軸上にテンプが収まっています。
 
下側の図版にあるFは、キャリッジの回転軸Eに取り付けられた筒カナ(小さな円筒状の歯車)。これがゼンマイからの駆動を伝える歯車Aと噛み合い、キャリッジを回転させる仕組みになっています。
 
さらにキャリッジの下には、動かないよう固定された歯車Cがあり、それと噛み合うPは脱進機のガンギ車を動かす筒カナで、図版上側にあるDがその回転軸。キャリッジの回転に伴い、固定歯車Cに沿って回る筒カナPで駆動するガンギ車は、同時にアンクルを介してテンプで調速され、キャリッジの回転速度を正しく制御します。どうですか? かなり複雑でしょ。

ブレゲ クラシック トゥールビヨン 3375 1338万円

オフセットした時分針ダイヤルとトゥールビヨンが上下対称に並ぶ姿が美しい。ダイヤルは手彫りギヨシェが、トゥールビヨンの周囲はハンドエングレービングが華やいでいます。手巻き、18KRGケース(35mm)、アリゲーターストラップ/ブレゲ(ブレゲ ブティック銀座)
いくつものパーツが積み重なるトゥールビヨンを、初代ブレゲは上下からガッチリと支える構造にしていました。現代のブレゲもそれに倣い、ダイヤル側にもブリッジを設け、両面から支えています。

ブランパン ヴィルレ トゥールビヨン 8デイズ 1098万円

12時位置に置くフライング・トゥールビヨンは、その全貌を見せています。8日巻きのロングパワーリザーブも魅力。自動巻き、18KRGケース(37.5mm)、アリゲーターストラップ/ブランパン(ブランパン ブティック銀座)
対してブランパンは、トゥールビヨン全体を裏蓋側だけでしっかりと固定できる仕組みを1989年に考案。ダイヤル側のブリッジを不要としたこのフライング・トゥールビヨンは、キャリッジの動きを邪魔するものがなく、より象徴的に見せることができるため、他社の多くが追随しました。

ジラール・ペルゴ プラネタリウム トライアクシャル 3139万円

トゥールビヨンのキャリッジを3重に。それぞれが3方向に異なる速度で回転する様子に目を見張ります。ムーンフェイズと、球体の地球儀が24時間で1周する昼夜表示も搭載。手巻き、18KPGケース(36.1mm)、アリゲーターストラップ/ジラール・ペルゴ(ソーウインド ジャパン)
さらにジラール・ペルゴが今年発表した「プラネタリウム トライアクシャル」のような、複数の回転軸を持つトゥールビヨンも、各社から登場。立体的な動きで、より強く重力の影響に抗い、また複雑さを増しています。

自分だけが聞こえる音色を再現するという究極の贅沢

トゥールビヨンは、その動きの派手さから複雑機構の象徴的な存在に。しかしそれよりはるかに複雑な時計のメカニズムは、いくつもあります。その一つが、ミニッツリピーター。

ケースに備わるボタンやスライダーを操作すると、現在時刻を1分単位まで正確に音で知らせる複雑機構は18世紀、照明がなく暗闇なる夜間に、時間を知るために生まれました。
 
今あるミニッツリピーターの多くは、音色が異なる2つのゴングとハンマーとを備え、時・15分・分の各単位を現在時刻の回数分だけ打ち分ける仕掛けになっています。時は1~12回、15分は0~3回、分は0~14回、それぞれの音の回数を数え、時間を知るというわけ。

パテック フィリップ Ref.5078 時価

トゥールビヨンが視覚に訴えかける複雑機構であるのに対し、ミニッツリピーターは耳で聞く複雑機構。だからそれを搭載するパテック フィリップの「Ref.5078」の見た目は、至ってシンプルです。しかし時計上級者は、ケース左サイドのスライダーを目ざとく見付け、超複雑&超高額モデルだと気付くはず。その内側には、現在時刻を記憶し、各単位の打つ回数をハンマーに伝達し、ゴングを正確に鳴らす巧妙なメカニズムが潜んでいます。
ダイヤル側の中央付近にある3つのスネルは、針と一緒に動き、その位置で現在時刻を記憶します。風車に似た分スネルの4つの各羽根には14の歯が切られ、その下側にあるクォーター(4分の1=15分)スネルには4つの、左側の時スネルには12の凹凸をそれぞれ備えています。これら歯と凹凸の数は、各単位が鳴らす音の回数の総数と同じです。
 
スライダーを動かすと、ミニッツリピーター用のゼンマイが巻かれると同時に、時・クォーター・分の各ラックがスライド。スライダーから指を離すと、ゼンマイの力でラックは元の位置にゆっくりと戻りながら、それぞれに備わる歯でハンマーへと駆動力を伝達します。

各ラックがスライドする幅は、それぞれの単位のスネルの歯と凹凸が正確に規制。スライドした分のラックの歯数が、各単位の音を打つ数になるわけです。
 
裏蓋側には、ゴングとハンマーに加え、ガバナーなる装置が備わっています。これは、ミニッツリピーターが作動すると回転する調速機構。ハンマーがゴングを打つタイミングを、等間隔にしてくれます。

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