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2018.05.15

渋谷のクラブシーンが今も昔も特別である理由とは?

1990年代以降、渋谷のクラブシーンは時代を牽引するパワーに溢れさまざまなカルチャーを産み出してきました。当時から今に至る夜の景色を見つめてきた音楽プロモーターの白川雅士さんに渋谷のクラブ事情について話を伺いました。

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文/松永尚久 写真/鳥居洋介

時代の移ろいと共に、常に進化・変化を遂げる都市、渋谷。夜のシーンにおいても、その時々によって、多彩なムーブメントが発信され、これまで多くの人々がそこから発せられる光に吸い寄せられてきました。特に1990年代以降の「クラブ」シーンからは、音楽以外でもきらびやかなカルチャーが生まれ、時代を席巻しました。そんな当時の状況から現在まで、移りゆく夜の景色を見つめてきた人物に、「あの頃」と「これから」の渋谷を聞いてみました。

街のどこで面白いことが起こっているのか、皆が必死で探していた

現在は、レディオヘッドやエイフェックス・ツインなど、洋楽インディー系のミュージシャンやバンドを多数紹介する音楽レーベルのプロモーターとして活躍している、白川雅士さん。以前は、青山でクラブを数十年に渡って運営するなど、渋谷界隈のシーンを知る存在です。

「高校生の頃に、雑誌の記事とかを通じて、音楽やカルチャーなどの最先端はすべて渋谷から発信されている、という思い込みがありましたね。それで、1980年代後半に大学入学で上京したのをきっかけに、渋谷に来たんですけど、当時は公園通りにある大型商業施設が全盛でした。その中には、当時では珍しかった輸入アナログ盤を多く取り揃えているレコード・CDショップがあって、そこに通いつめていましたね。ただ当時の渋谷には、クラブのような場所はあまりなく、原宿や西麻布などに、ちょっとあった程度だったような記憶がします」 
当時は六本木や芝浦を中心にスーツなどのドレスコードがあったディスコ文化が全盛の頃。しかし1990年、西麻布に「YELLOW」がオープンしたことをきっかけに、徐々にスニーカーなどのカジュアルなスタイルで楽しめるクラブが青山や渋谷にも登場したといいます。

「日本人って、新しいものやお祭り騒ぎが好きじゃないですか。すると『どうやらクラブが面白い』とい噂が口コミで広がり始めたんですよね。当時は、スマホで情報を検索することなんてできませんでしたから、実際に行かないとどういう雰囲気なのか知ることはできない。しかも、情報源はどこかのお店に置いてあるフライヤーくらいの限られたものしかなかったので、みんな『どこに行けば、面白いことが起こっているのか?』探すエネルギーに満ち溢れていたと思います」
白川さんは80年代後半から新しい音楽を求めて渋谷に通っていた。
そんな中でも、渋谷は他に地域にはない特色を放っていたそう。
「渋谷には、当時大手から個人までさまざまなレコード・CDショップが乱立していましたからね。そういう場所と連動して、ジャズ系に特化したところや、ヒップホップ、オールジャンルなど、多様なタイプのクラブが登場しました。当時は(オープンさせる側も、許可する側も)みんな右も左も分からない状況だったから、新しい場所がオープンして、クローズするという新陳代謝が、とても激しかったですよね。結果、他のエリアに比べて時代の空気感をいち早く捉えていたというか。そことなく“おしゃれ”な感じがありました。なので、どこも足の踏み場もないほど人で溢れかえっていましたし、そこには綺麗に着飾った女性も多く訪れていて、一夜限りの交流を楽しむ様子も、よく目撃しましたよ(笑)」

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海外からの観光客がディープなものを求めてクラブに通い始めている

店に行くことがステイタスの時代から、身の丈にあった場所を探す時代へ

常に、時代のエネルギーを取り入れながら、その後も変化していった渋谷のクラブシーン。ですが、法規制なども影響してか、徐々にその様子は変化していきます。

「90年代って、クラブに行くことそのものがステイタスのような部分があったと思うんです。例えば、そこの常連でスタッフとも気軽に話せる遊びの達人的な雰囲気を出すことがカッコいいみたいな。でも、今はみなさん“そこにいる”ことに対して、あまりこだわってないというか。自分が聴きたい音楽を求めてフラッと立ち寄れる場所を、探しているような気がします。だから、ロックやレゲエなどジャンルに特化したバーやカフェなどが多く出来て、そこで音楽にじっくり浸るというスタイルになっているような。皆さん、身の丈にあう場所を探している印象がしますね」
今回、白川さんに話を伺った「渋谷bridge」は、いま渋谷で最も注目のDJバーだという。
ゆえに、90年代のような大きく新しいエネルギーを発信するようなクラブを見つけるのは、至難の業であるそうです。
「もちろん、クラブは存在するのですが、今は気の合う人たちが好きな音楽をかけて集まっているという印象が強くて、世代や嗜好を超えた交流って少ないのかもしれません。ですが、最近は海外からの観光客の方々がディープなものを求めて、いろんなクラブに足を運ぶようなことも多くなっているそうです。そこから、また新しい何かが生まれるのかもしれないですよね」

2020年の東京五輪はもちろん、その後に向けて再開発が進行中の渋谷。今後どんな変化がクラブにもたらされるのでしょう。
「これまでは深夜に、ビルの地下で営業しているようなアンダーグラウンドなイメージでしたが、最近はホテルのロビーを使って、美味しい食事やお酒を楽しみながら踊れるイベントなども開催されているようですし、よりクラブという文化がオープンになっていき、いろんな選択肢が増えていくような気がします。だから、年齢を問わずに楽しめるものになっていくのではないのでしょうか」
最後に、白川さんが渋谷の新しい音楽スポットを紹介。現在はクラブにとらわれず、より自由な感覚で音楽やカルチャーに触れられる場所が注目とのこと。

白川さんオススメの渋谷の「今」がわかる音楽スポット

◆ 渋谷Bridge

渋谷のハチ公前・スクランブル交差点を見下ろす、好立地にあるビルの10Fに2015年オープンしたDJバー。90年代の渋谷界隈のクラブシーンを賑わせた存在から、現在の注目株まで、連日多彩なDJたちが登場し、渋谷の今を伝える。街の喧騒を味わいながら、洗練された落ち着きも満喫できる大人の音楽スペース。最近は海外からの観光客はもちろん、公演のため来日したミュージシャンもお忍びで訪れることもあるのだとか。

◆ ビートカフェ

道玄坂にあるバー/カフェ。来日したミュージシャンが、ライヴ後などに立ち寄る場所として知られ、異国情緒を味わえる空間。

◆ リトルナップ コーヒースタンド

せンター街を抜け、富ヶ谷や代々木公園方面に歩くとある、コーヒー・ショップ。コーヒーはもちろん、店内のBGMも洗練されたセレクションで話題に。また不定期で、中古レコードも販売しており、そのセレクトも秀逸。

● 白川雅士(しらかわ・まさし)

青山のクラブ「mix」運営を経て、現在はビートインク/ビート・レコードの宣伝担当として活躍。6月末には所属バンド、Goat Girlの来日公演が決定。7月開催のフジロック、8月開催のサマーソニックには、所属ミュージシャンが多数出演する。

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