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2017.12.12

新しくて懐かしい、ニューアメリカ料理レストラン/銀座「MARK’S TABLE」(マークズ・テーブル)

美食が集まる銀座に“和のエッセンスを効かせたニューアメリカ料理”を提供するレストランが誕生。アメリカ人シェフが作る、その新しくて懐かしい美味とは?

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文/田代いたる 写真/椙本裕子

知り合って、まだ日の浅い女性を食事に誘うなら、どんなレストランが良いか、迷うところ。寿司? それとも、ホテルダイニング? 行き慣れているフォーマルな店が自分にあって、そこへスマートにエスコートできるなら、株はグンとアップするのでしょうが、会話を楽しんで、もっと親密になりたいと願うなら、カジュアルに楽しめて新しい、こんなレストランがベストかも。
2017年9月にオープンしたばかりの『MARK’S TABLE』は、候補に挙げるべき一軒です。
銀座の新店ですから、それだけでトレンドに敏感な女性はきっと喜んでくれるはず。「シェフはサンフランシスコ生まれの日系アメリカ人だよ」なんて誘えば、話題性は十分でしょう。
「和のエッセンスを効かせたニューアメリカ料理」を提供しています。けれど、そう聞いて、頭の中に浮かぶのはクエスチョンマーク。和のエッセンス、ニューアメリカ……それらは、一体、何を意味しているのでしょう? 早速、彼女と、確かめに行きましょう。
店は8丁目にあって並木通りの一本西。ビル1階にある路面店です。ガラス張りのファサードは何とも洒落た雰囲気。室内の壁面は打ちっぱなしのコンクリートで硬質な印象ですが、周囲と対照的に、席は広々としたウッドカウンターがメイン。柔らかく美しい木目からは、温もりまで感じられます。室内には床の間のようなスペースもあって、どこか和を思わせる感じ。さては、これが和のエッセンス? そう思うのは早計というもの。『MARK’S TABLE』は、キチンと料理で、和のエッセンスを表現しています。
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「いらっしゃいませ」
こちらを向いてカウンターに立ち、流暢な日本語を操る彼こそが、日系人シェフの関田政弘マークさん。屈託のない笑顔に、すぐ打ち解けたように感じます。実は、マークさんの父は40年以上もアメリカの和食店で腕を揮ってきた日本人の料理人。母は料理好きのイタリア系アメリカ人で、祖父母は東京・府中で和菓子店を営んでいたとのこと。
「だから、料理人の血は僕の中にも流れています」と、やはり笑顔でマークさん。少年時代は、「宿題を終えたら、料理の手伝い」。それが当たり前の日課だったそう。
「料理好きであることは、ずっと変わらない僕のアイデンティティ」
そんなマークさん、将来の進路を決める際、当然、料理人を志望しましたが、苦労をよく知っているからか、父に大反対されたそう。ならばと、ここからが彼のユニークなところ。カリフォルニア大学で経済学を学び、卒業後は証券マンの道を歩み始めました。母国の会社に就職して、間もなく勤務先として訪れた国が日本。それから、ずっと日本で仕事をしていたと言います。転機が訪れたのはNYに異動になってからのこと。
「金融の仕事をしている間も、友人たちに料理を作って、振る舞っていました」
多忙な日々を過ごしながらも、やはり、料理への熱い想いは募る一方だったのです。
「どうしても料理人になりたい」
NYで3年ほど、勤務した後、ついに一念発起。現地の名門料理学校に入り、フランス料理を学びます。その後は、洗練された料理が高く評価されるNYのレストラン『Gramercy Tavern』のキッチンに入り、みっちり実務を経験しました。
「僕が今、『MARK’S TABLE』で大事にしているのは“Farm to Table(=地元の新鮮食材を使って季節ごとにメニューを変えるスタイル)”。それは『Gramercy Tavern』で学んだことでした」
届いた食材に応じて、日々のメニューを考える。だから、『MARK’S TABLE』の料理は基本、おまかせコース一本のみ。父の故郷で、自身も慣れ親しんだ日本の地で勝負しようと決め、ともに経営するパートナーの要請で、場所は銀座になりましたが、ここで“Farm to Table”を実践しようと、知人のシェフに紹介してもらったり、自分で探し出したりして、全国の産地を積極的に巡ってきました。そうした中で、マークさんが気付いたのは日本の食材の素晴らしさでした。
「国土が広大なアメリカと違って、日本は産地と都市が近く、どんな食材も、抜群の鮮度で手に入る。優れた産地も全国にいろいろありますが、それだけでなく、日本は四季もはっきりしているから、本当に多様な食材と出合うことができる。日本の食材、ハンパないです(笑)」
生産者と直接、取引するケースも多く、「生産者をサポートしたい気持ちもある」とマークさん。
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「愛媛産真鯛セビーチェ」。昨年、ペルーで、この伝統料理を食べ歩き、独自の味を完成させたマークさん。「ライムは愛媛産で、隠し味に薄口醤油を少し」料理はすべてシェフのおまかせコース¥9,500(税別、サービス料10%別)より。
「手打ちフェットチーネ、舞茸カシューナッツソース」。弾力あるパスタが抜群。仕上げに垂らした醤油の、食欲をそそる香りが室内に充満。期待は膨らみます。
「豚塊肉の味噌ガーリック漬け」。最低でも2日、漬け込む鹿児島・ふくどめ小牧場の豚は80℃で3時間火入れ。ビーツは山梨・菊島ファームからの直送品。
コースは、3〜4週間ほどを目安に、季節に応じて、前菜からメイン、デザートまで、順次、変わっていきますが、「僕はハーフイタリアンだから(笑)」パスタは絶対に組み入れるんだそう。鰹出汁など、日本料理の手法を随所に取り入れているのは幼い頃から背中を見てきた父の影響で、日本の素晴らしい食材に、和食の技術を組み合わせた、このスタイルが、つまりは、和のエッセンスを効かせたマークさんの料理。出来上がりは『Gramercy Tavern』出身と、うなずけるほど、洗練されていますが、食べれば、不思議と懐かしさを感じ、同時に、ホッと和みます。
例えば、この日、登場したパスタは「いろいろ試して、ベストな麺のレシピを見つけた」手打ちのエッグ・フェットチーネ。もっちりしてコシもある麺は最高で、今日の具材は食感も楽しいヤマエノキやアワビタケ、ハナビラタケなど。これら変わったキノコはすべてマークさん自らが探し出したものです。仕上げにほんの少しだけ醤油を垂らしていますが、これは、わずかに感じる香ばしさを加えるためで、言われなければ、醤油を使っているとは気付かないほど。何とも繊細な使い方。マークさんの料理はどれもが、こんな調子で「日本の味はどこかに必ず入れるようにしている」と言いますが、その日本の味が前面に出て強く主張することはなく、まさにエッセンスといった程度。だから、新しく思う一方、ホッとする懐かしさを覚えるのです。
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パスタソースもまた独創的。今日のソースは、ローストしたカシューナッツをベースに、香味野菜の出汁のほか、やはりローストして香りを引き出した椎茸や舞茸まで合わせて、ミキサーで撹拌。トロッと乳化させたオリジナルで、コクはしっかりありますが、生クリームは一切使っていません。食後感はいたって軽やかで、ヘルシーだから女性にとってもうれしい美味しさ。アメリカ料理に“ニュー”を付けたのは、体に優しい料理を目指す、マークさんのスタイルを明確に示しておきたい意図もあったのでしょう。
「僕の人生で最大の目的は、料理で人をハッピーにすること。それは、料理人になるずっと前から、変わっていません」
料理や食材のこと、アメリカや日本のこと。マークさんとの会話も愉快で、料理は、人と人とを繋ぐコミュニケーションツールだと実感します。
「都市に暮らす人は皆、仕事などでストレスを抱えて疲れている。ここに来たら、そうしたことは全部忘れて、自宅にいるように寛いで欲しい」
自宅というより、親友である料理人の家に、お呼ばれしているよう。文字通り、“マークの食卓”で、これぞ正真正銘のシェフズテーブル。マークさんの優しい“気”のようなものも空間に満ちているから彼女との会話も心地良く弾みます。

女性との距離を縮めたい。そんなときには、居住まいを正して食事する寿司やホテルダイニングよりも、ハートウォーミングでカジュアルな、こういうレストランの方が絶対にいい。新しくて懐かしい美味に舌鼓を打ち、マークさんの笑顔に癒されながら、改めて、そう思うのです。

◆ MARK’S TABLE(マークズ・テーブル)

住所/東京都中央区銀座8-4-3 山田ビル 1F
営業時間/月〜金 17:30〜23:00(L.O. 22:00)
定休日/土曜・日曜・祝日(2週間前までの電話・メールで営業は応相談)
URL/www.markstable.com
お問い合わせ先/☎03-3571-1900

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