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2017.07.23

次のデートは「立ち飲み酒場」で逢いましょう/都内厳選3軒

CATEGORIES :
文/柏木 智帆
ひと昔前までは、オヤジたちの聖域として長らく守り継がれてきた赤ちょうちんも、今や若い女子たちに大人気。上野のガード下などは、お洒落オヤジと若い秘書風カップルが楽しそうにホッピー片手にモツ煮込みをつついている姿が日常的に目撃されています。オトコたちは、彼女をいかに渋くて趣味のよい赤ちょうちんに連れて行けるかに腐心する今日このごろ。
 
そろそろ新しい“デート飲み”スポットを開拓すべき頃合いかと、ふと浮かんだのが「立ち飲み酒場」。まだまだオヤジのテリトリーである立ち飲みに女子を連れて行くのは、なかなかの冒険。果たして、立ち飲み酒場で女子は楽しめるものなのか? そして立ち飲み酒場はデートに使えるのか? 
 
そんな偵察も兼ねて、今どきの立ち飲み酒場事情を女子目線で探ってみようという今回の企画。挑戦者はアラサーとアラフォーの狭間で揺れる、さすらいの飲兵衛女子記者、カシワギ。幼少の頃、父親に連れられて行った酒屋の角打ちが原風景と言う筋金入りの酒屋ラバーです。

◆ 秘密基地のような空間「富士屋本店」/渋谷

というワケで、私、カシワギがオヤジさんたちに残された最後の聖域、立ち飲み酒場を訪ねる小さな旅の始まりです。
まず1軒目は渋谷駅のそばに古くからある「富士屋本店」です。
富士屋本店外観
午後4時55分。店の前で5分後の開店を待っていると、1人、2人と男性客が集まり始めました。私ひとり、いかにも気合い十分な女子みたいで気恥ずかしいなぁと思っているうちに、看板が灯りました。
 
狭い階段を降りると、地下の店内は予想に反して広く、凹型の大きな立ち飲みカウンターが、まるで秘密基地のような雰囲気を醸し出しています。カウンターの中にいる店員たちは、無駄に笑顔をつくりませんが、話しかけると意外と優しい。そして、何もすることがないときの脱力感と、注文が入ったときの機敏さ。そのメリハリある接客に、たまらなく魅力を感じます。
しながき
壁には、手書きの品書きがズラリ。まずは、瓶ビールにポテトサラダとしめさばを注文。お酒と料理が出てくると、男性店員が「ここでいったん、いいですか?」。キャッシュオンシステムだったようで、あわてて財布を取り出します。
 
後から来たサラリーマン風の男性客は、カウンターにつくなり2枚の千円札を灰皿の下に挟みました。なるほど、スマート。これが立ち飲み屋の嗜みなのですね。
ポテサラしめさば
こんもりとダイナミックに盛られたポテトサラダは300円という驚きの価格。ポテサラには必ずウスターソースをかける父の嗜好を中途半端に引き継いだのか、ポテサラには醤油をかけずにいられない質。ドボドボっと醤油を注いで食べ進めるも、あまりに量が多く、早々にお腹がいっぱい。
 
ああ、せっかく壁を埋め尽くすほどのメニューがあるというのに。ポテサラで終わってたまるかと、なすみそを追加。あまじょっぱさがたまらなくおいしい。これはビールをチェイサーにして日本酒を飲みたくなります。
 
開店から30分も経つと、まだ午後5時半だというのに客は30人近く。それでもまったく騒がしくありません。聞こえてくるのは、テレビから流れてくるニュース番組の音声。店内を見渡すと、なるほど、ほとんどが1人客。
 
テレビを見ながら飲んでいる人がほとんどで、あとは何をするでもなく、黙々と食べて飲んでいます。スマートフォンをいじる人がほとんどいないのは、なんだか新鮮な光景です。
フジヤカシワギ
カシワギのような女子ならば、最初のデートでこの店に来たら大興奮すること間違いなし。オシャレなお店の場合は「はは~ん、さては食べ〇〇で調べたのかな」くらいに思いますが、この店だったら、相手の男性への興味が倍増します。
 
ここは創業130年の酒店が経営、オープンからは約45年の歴史がある店だそう。ところが、渋谷駅周辺は再開発が進んでいて、ここもそのエリアの一画。「このお店はどうなるんでしょうか」と店員に尋ねると、「このへんはみんななくなっちゃうでしょうね。たぶん代替地をもらうと思いますが、私たちもまだ社長から知らされていないんです」。せめてこの年期の入った凹型カウンターだけでも残してほしいものです。
 
店を出ると、まだ太陽ギラギラ。朝早く起きたときのような、得をしたような気分になって、JR山手線へ向かいます。

◆ 富士屋本店

住所/東京都渋谷区桜丘町2-3富士商事ビルB1F
営業時間/月曜〜金曜17:00〜21:30 土曜17:00〜20:30(いずれも揚げ物のL.O.は閉店30分前)
定休日/日曜・祝日・第4土曜

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◆恍惚のたまねぎフライ「立ち呑み龍馬」/新宿

◆恍惚のたまねぎフライ「立ち呑み龍馬」/新宿

JR新宿駅東口へ。ゴジラロードの入口に、坂本龍馬のイラストとともに「立ち呑み龍馬」と書かれた看板が目に入りました。「こっちぜよ」の文字に引かれて奥へ進むと、男性客たちがカウンターでテレビを見ながらお酒と串揚げを楽しんでいます。数人で飲むよりもスマートに感じられて、1人飲み客がだんだん酒場の紳士に見えてきます。
立ち呑み龍馬 看板
ここはオープンから12年。オーナーが龍馬好きというなんともわかりやすいお店です。串揚げがウリの店なので、さっそく注文。揚げ物なのでお酒は爽やかにレモンサワーを。さらに、100円のキャベツも追加注文して、揚げ物を迎える準備は万全です。
 
すると、キャベツが立ち食い蕎麦屋並みに10秒ほどで出てきました。この早さも立ち飲みの醍醐味。キャベツを肴に飲んでいると、揚げたての串揚げが登場。二度づけ禁止のウスターソースが卓上にありましたが、「ポテサラに醤油」党としては、串揚げも醤油で。
竜馬店内
たまねぎの串揚げは、なんと90円。衣のサクサク感と火が通ったたまねぎの甘さ。たった90円でここまでの感動を味わえるとは。最後のひと口まで感動覚めやらぬまま食べ終え、もう1本食べたいなあと思いましたが、この感動を壊したくないのでやめておきます。
 
もうちょっと……のところで深追いしない。恋愛もそういう駆け引きが大事なんだろうなぁなどと思いながら、2杯目のレモンサワーを飲み終えました。
 
そうそう、こちらのお店には一度見たら忘れられない衝撃のメニューがありまして。魚肉ソーセージとマッシュルームを組み合わせた串揚げなのですが、なんとも言葉にしづらい形状……。1回目のデートでは完全にアウトですが、5回目以降のデートなら、ぜひお試しを。
 
と盛り上がった(?)ところで、そろそろ締めのお米が食べたい。そうだ、あれを食べよう。
京王井の頭線へ向かいます。

◆ 立呑み「龍馬」

住所/東京都新宿区歌舞伎町1-17-13J1ビル1F
営業時間/月曜〜金曜15:00〜23:30 土曜・連休13:00〜23:30 日曜・祝日13:00〜22:30(いずれもL.O.は閉店30分前)
定休日/なし

◆実はしゃけよりサンマ好き!? 「しゃけスタンド」/代田橋

代田橋駅から徒歩5分。入口のガラス戸に縦書きで「しゃけスタンド」の文字。先客の年齢層が明らかに若く、先ほどまでの「立ち飲み=オヤジ」のイメージが一気に覆されます。
しゃけ外観
店内の壁にはずらりと手書きの品書き。「しゃけ」「上しゃけ」「鮭ぶし奴」…。しゃけのメニューが多いのは、さすが、しゃけスタンド。龍馬好きの「立ち呑み龍馬」と同じように、相当なしゃけ好きがオーナーに違いないと確信しました。
 
ここは、しゃけメニューが充実した深夜食堂「しゃけ小島」の男性店主が店舗隣で始めたお店。店主に「しゃけが好きなんですか?」と尋ねると、「いえ、サンマのほうが好きなんです」という衝撃の答えが返ってきました。
しゃけ店内
日本ではしゃけが浸透していて、好きなおむすびの具材ベスト3には必ずしゃけが入っているほど。泳いでいるときは「さけ」なのに、焼いたりほぐしたりすると、いつのまにか「しゃけ」と呼ばれているところにも、日本人のしゃけに対する愛着を感じます。店主も「定食の定番」「ほっとする」という理由で、大好きなサンマよりもしゃけを選んだそうです。
 
ラジオから流れてくるナイター中継や音楽。そして、コの字カウンター。ちょっぴり昭和の香りを感じますが、カウンターの中にいる女性店員は若くてかわい。ところが、着ているエプロンがなぜかお母さん的なチェック柄。そのミスマッチ感が、独特の空気を生んでいます。
しゃけスタンド店主
この店なら、立ち飲み初体験女子を連れて来ても、きっと気に入ってもらえるはず。現に、「この店に連れていって!」という女子をすでに4人お連れしています。カウンターでの彼女たちの高揚感を見ていると、カシワギだけでなく、きっと多くの女子にとって“デートで来てうれしいお店”だと思うのです。
 
まずは目の前におでんがあるので、この日、初めて日本酒を注文。おでんの出汁は、鮭節と鰹節と昆布を使った関西風。「おでん屋って夏は経営できるのかしら…」と長年の疑問でしたが、暑くてもおでんを食べたくなるものですね。
しゃけつみれ
「鮭つみれ」は、「鰯つみれ」の鮭版。「ねぎしゃ」は、ネギとマグロの「ねぎま」の鮭版。どんな魚の代替も務まる、そんなしゃけの偉大さを感じるメニューが満載です。
かけめし
締めは、「かけめし(鮭)」。ごはんの上に焼き鮭の切り身がどーんと乗せられ、最後におでんのつゆが注がれます。まずは、ごくごくとおでんのつゆを飲むと、あぁ染み渡る。しゃけの上に乗せられた柚子胡椒の爽やかな風味と、しゃけのほのかな塩気で、ごはんがさらさらとお腹におさまっていきます。
カシワギ
さっきまで食べていたおでんのつゆで締めるという、この一連のストーリー性。かけめしを食べるなら、おでんを。おでんを食べるなら、かけめしを。セットで食べるからこそ、おいしさが倍増するのです。
 
この店が立ち飲みスタイルなのは、「床が斜めっているから」。実は、カウンターの高さが位置によって違うそうです。なるほど、いす席だと困りますが、立ち飲みならばあまり問題ありません。しゃけをつつきながらお酒を楽しむという立ち飲みの開放感を味わうと、この店の床が傾いていてよかったなあとしみじみと思うのです。

◆ しゃけスタンド

住所/東京都杉並区和泉1-3-15
営業時間/火曜〜土曜16:30〜23:00L.O. 日曜15:00〜22:00L.O.
定休日/月曜
●柏木 智帆(かしわぎ・ちほ)

元神奈川新聞記者。取材を通じてお米とお米文化に興味をもち、お米農家を経て、現在は「お米を中心とした日本の食文化の再興」と「お米の消費アップ」をライフワークに執筆活動を続けている。ちなみにお米でできた日本酒も大好き。

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