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2017.09.28

「運慶」展に行ってソンはないこれだけの理由

上野で開催中の史上最大の「運慶」展。そのプレス内覧会に参加して「これは行ってソンなし」と確信致しました。

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文/Adelaideclassifieds.jp チーフディレクター 森本 泉
運慶作 国宝 大日如来坐像(奈良・円成寺)
一昨日(9月26日)からトーハクこと東京国立博物館で「運慶」展が始まりました。誰もが教科書で一度は学んだ歴史上の有名人、運慶。その名を聞くと、修学旅行で行った奈良・東大寺の金剛力士立像を思い浮かべる人も多いかと思います。
 
今回、さすがにあの巨体ペアは不参加ですが、それでも過去にないほどの規模で代表作が集められた歴史的な展覧会となっています。そこで、少しでも興味をおもちの方々の背中を押すべく「運慶」展に行ってソンはない理由を申し述べてみたいと思います。

時代を超えたヒーロー造形作家、運慶

誤解を恐れずに言えば、仏像とは、いわば現代版大型フィギュアのようなもの。いまの仏像ブームがもはや宗教から離れて、キャラクター化した造形の素晴らしさや歴史というロマンを楽しむ舞台装置として機能していることはいわずもがなですが、日本人は歴史的に見ても本当にフィギュアが大好きな国民だと思うのです。
 
女の子は小さい時からリカちゃん人形で遊び、男の子も怪獣やロボットのソフビ人形を集め、オタクの方々はアニメキャラのフィギュアに夢中、そして熟年を中心に多くの人々が仏像を訪ね歩くことに熱中と、老若男女を問わず国民こぞってフィギュアLOVE。
 
そして運慶は、そんなフィギュアLOVE王国、日本を代表する造形作家として間違いなく大ヒーローのひとり。もし彼に、今のアニメのキャラクターを作らせたら、きっとオタクの方々が卒倒するような素晴らしいフィギュアを作るでしょう。岡本太郎や村上隆が現れる1000年も前に日本には希代のカリスマ造形作家がいた。その歴史を超えた天才ヒーロー作家の全貌を実感できるのが今回の展覧会なのです。

違和感があるほどの生々しさ

運慶が生まれたのは1150年頃。鎌倉幕府誕生の直前、日本が貴族の時代から武士の時代へと変わる混沌の時期でした。彼の生まれる前にも優れた仏像はたくさんありましたが、では運慶の仏像が“他とは違う一番の魅力とは何か”といえば、それは圧倒的に生々しいリアリズム表現の凄さに尽きるでしょう。
 
もちろん細やかな表現技巧も素晴らしいのですが、それ以上に、見て最初に感じられる生命力溢れる、今にも語り出しそうな生き生きとした表情。これは他の仏師の追随を許さぬものです。
 
そもそも仏像とは人間界ではない世界の住人達。なのに、すぐそこにいるかのようなリアリティをもっている。では、そのリアリティの本質とは何なのか? それは彼の意識のありようと関連しているように思えます。運慶は職人としての仏師であるより、いわば彫刻家(という概念は当時はありませんが)として彼自身の中にもっていた溢れんばかりのエネルギーの発露として、仏像を生み出していたのではないでしょうか。
 
本来、仏像とは人々の祈りの対象であり、仏師の作業は宗教行為であって、彼らは「私」を捨て、仏のために奉仕する身であったはず。そこで多くの仏師は、人々が安心して拝める神聖な美しさを表現しようと仏像制作に励んでいたと思われます。そんななかで運慶の仏像は、違和感があるほど生々しい。そこには遠く手の届かない「美」という抽象ではなく、まさにそこに仏がいるという実在の感覚をこそ彼が求めていたからに違いありません。だからこそ見る者の特別な感覚を呼び覚まし、その心に強く刺さるのだと思います。
 
運慶の仏像の前に立ったら、まずその圧倒的な存在感を体全体で感じて頂きたい。その類まれなる臨場感を味わえるのが「運慶」展なのです。

今見ないでいつ見る!的な空前のスケール

というように他の誰とも違う、特別な仏師である運慶。その別格の存在感と知名度にもかかわらず、実は彼の作として正式に認められている作品はわずか31体(諸説ありますが)。フェルメールの真作(33~36と言われています)より少ないのです。それが今回の展覧会にはそのうち22体が集められている。これはもう空前絶後というほかありません。
 
私は6年前に神奈川県立金沢文庫で開催された運慶展にも行きましたが、この時も7体集合!に結構興奮したものです。ところが今回はその3倍以上‼!
しかも最も人気の高い仏像のひとつ、国宝大日如来坐像(奈良・円成寺)が、何と前座のように入口付近に鎮座しているのだから驚きです。私なんか、もうこれさえ見られたら帰っていいぐらいの作品ですから、ホントたまりません。おそらく向こう10年はここまで豪華なラインナップは期待できないと思われます。

運慶は意外や女子ウケも万全!

と、ここまで書いてきましたが、そもそも仏像でモテるかよ!? と疑問をもたれる向きもありましょう。ところがこれも想定外かもしれませんが、実のところ、仏像好きの女子は思いのほか多いのです。何故かと言えば、女子=間違いなく旅行好き→旅先で寺を巡る→寺には仏像がある→思わず見ちゃう……ということで、彼女たちは女子旅で何度も繰り返し仏像を見てきたのです。だから男子とは比較にならないほど仏像と親和性が高い。
 
しかも、先程、運慶はヒーローだと申し上げましたが、世の中には男子ウケしかしないヒーローもいますが、運慶は非常に女子ウケする。何故なら彼の作った仏像はどれもキャラが立っていて、どこか愛くるしいものが多いから。特に八大童子立像なんか、すごくかわいい。
 
と言うことは運慶について語れるオトコは、女子にモテる、かどうかはわかりませんが、少なくとも運慶を共通の話題にして十分盛り上がれる。だからといって展覧会で女性のお客様に声を掛けろなんてことはゆめゆめ申しませんよ。そうではなく、あなたの彼女も実は運慶に興味があるという可能性が結構高いということ。つまり「運慶」展はデートにも使えるのですね。上野公園はその後も素晴らしい散歩コースがたくさんあります。谷根千も近いし、浅草に足を伸ばすのも良し。
ということで「運慶」展、オススメでございます。

◆ 興福寺中金堂再建記念特別展 運慶

期日/2017年9月26日~11月26日
場所/東京国立博物館 平成館(上野公園)
開館時間/9:30~17:00 ※金・土曜および11月2日(木)は21:00まで。入館は閉館の30分前まで
休館日/月曜 ※ただし10月9日(月・祝)は開館
URL/http://unkei2017.jp/
お問い合わせ/☎03-5777-8600
主催/東京国立博物館、法相宗大本山興福寺、朝日新聞社、テレビ朝日

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