2017.05.22

男の教養に必携の1冊はコレ

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先日、ウディ・アレンの新作『カフェ・ソサエティ』を観てきたのですが、内容に劣らずパンフレットの表紙がいいですね。

昔観た映画の内容を思い出そうとするとき、よくできた映画のポスターやパンフレットというのは沈んだ記憶を引き上げる鍵になることが多いような気がします。たった1枚のビジュアルが、実態のない物語を凝縮し、きちんと表現しているからでしょうか。

先日、そんな記憶(記録)としてのポスターの役割を活用した、こんな本を見つけました。

ほんとうに素敵な色合いの装丁です。『日仏映画往来』とありますが、ポイントは「往来」という言葉。そのとおり、映画をキーとして、日本とフランスの文化的な交流(国境を超えた相互への影響)を、文学、作品、人物、音楽の4章で網羅的に集めた1冊です。著者の努力の賜物とも言える数多くのポスター(現代のそれと違い、デジタルデータはほとんどないんですね)がとても印象的です。そして、「個」の解説に重きを置いたこれまでの辞典的な本と違い、より「関係」に重点を置いている点が斬新で、とてもおもしろい。

『日仏映画往来』と聞いて、少しカタい印象を持たれる(あるいは自分の専門外だと思われる)かもしれませんが、あくまで“ 関係性”の中で日本文化を見つめ直すと思うと、新しくおもしろい発見がたくさんあります。

日本独自のものだと思っていたものが、実は海外の文化や人物に影響を受けていたり、またその逆があったり。そうしてひとつひとつをたどっていくと、文化には脈々と続く“愛”が感じられてなんとも温かい気持ちになります。好きじゃなければ(愛されなければ)、継承も温存もしないでしょうから。

しかしながらこちらの本、内容の守備範囲も本当に広く、ただただ圧倒されます(なんと、著者はたったひとりなのだからさらに驚き)。なかでも「文学と漫画アニメの交錯」という追補が興味深い。岡崎京子氏の描く物語に漂うあの独特な雰囲気がフランス文学の影響下にあったことや(ボリス・ヴィアンの作品をそのまま手がけたり、作中でゴダール好きを表明したりなど)、大友克洋氏、押井守氏、宮﨑駿氏、谷口ジロー氏が多大な影響を受けたのがフランス、バンド・デシネ界の巨星メビウス、ジャン・ジロー氏であることなど、身近なものさえ知るほどに奥深くなっていくのはほんとうに面白いです。

また、このタイミングで6月には村上春樹氏の短編小説集『パン屋再襲撃』が、バンド・デシネになって登場するというニュースも入ってきました。あのお話たちがどのような雰囲気を帯びて帰ってくるのか、今からとても楽しみです。

さて、話を『カフェ・ソサエティ』に戻すと、1930年代のカフェ文化が軽妙に、しかし華々しく描かれていてとても魅力的な世界でした。ウディ・アレンの映画は、なんといってもそのセリフがたまらないのですが、今回最も好きだったセリフをご紹介して締めくくりたいと思います。

主人公の無垢で純粋な青年ボビーが、想いを寄せる大人びたヴォニーに言われた一言。

「あなたって、車のライトに驚いて動けなくなった鹿みたいで可愛い(You have this deer-in-the-headlights quality)」

いいですよね。私も機会があったら、使ってみようと思います。

■『日仏映画往来』
著者/遠藤 突無也(えんどう とむや)
定価/5200円
発行/(株)フライングボックス
URL/

文/web Adelaideclassifieds 冨永麻由

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