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2018.04.12

自動車写真家が撮る、美しいクルマ【2】

クルマの走行シーンの撮影は、脳内シミュレーションが大切です

自動車専門誌のみならず、ファッション誌や音楽関係の撮影もこなす柏田芳敬氏。特に躍動感溢れる走りの写真には定評があります。そんな彼が、走りの撮影を中心に、そのポイントを教えてくれました。

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写真/柏田芳敬 文/南陽一浩

フェラーリ「488スパイダー」を追っかけで撮影した例です。今はデジタル処理で背景を流すことはできるようになりましたが、可能な限りシャッタースピードを遅らせて一発写真になるように心がけてます。その方が俄然リアリティが漂います

躍動感を出すためにスピードを上げる必要はありません

フリーランス歴はじつは長いが、業界では永遠の若手、もしくは隠れベテランといわれる、柏田芳敬さん。クルマの躍動感を捉えることに定評があり、今回は走りを中心に作品を選んでもらった。

「まず走りの撮影をする際のシャッタースピードですが、被写体となるクルマの速度とフォトグラファーの経験値、あとはドライバーさんの技量によっても違ってきます。

強調しておきたいのは、走りの撮影はチームワークがあってこそということ。絶対に無理せず、無事に終わらせることがいちばん大事なのです。適切なシャッタースピードで、ドライバーさんとの息が合っていれば、背景を流すためにスピードを上げる必要はありません。定点や並走など、どんな走りの撮影でも、すべて法定速度内で可能です」

では、ほかに撮影現場で心がけていることはあるのだろうか?

「現場は一期一会。基本的にワンチャンスで二度目はありません。だからこそ、走るクルマを撮るためには頭の中でのシミュレーションが欠かせません。日頃からクルマの撮影ができそうないい道や場所を探していて、見つけるとあのクルマが引き立ちそうとか、このクルマの雰囲気に合いそうといったことを考えています。つまり、具体的な撮影依頼がある前から、撮影の準備は始まっているんです」
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広大な風景に小さくクルマを入れ込むことで日常感を出しました

風景を優先して、走っている時の高揚感を撮りたかった。場所は宮古島でクルマはレンタカーのマツダ「デミオ」。クルマなしの風景写真との違いは、クルマが写ることで日常感が出ること。この写真を見た人に、行ってみたいと思ってもらうことが狙いです。

真横アングルの走り写真は、ヌケと余白に意識しましょう

真横アングルは走り写真の定番の一つ。クルマはフェラーリ「488」、場所は丸の内です。背景がヌケるよう、被写体と背景の距離感は気にします。あとはクルマの前後どちらかに余白があるとスッキリします。後ろが空けるほうが好みです。

引っ張りや追っかけの撮影はチームワークが大事です

6月の新緑の中、風そのものを撮りたかった。クルマはフェラーリ「488スパイダー」。引っ張り(カメラマンがクルマの前方からフロントアングルを撮影する方法)や追っかけ(同様に後方から撮影)の撮影はチームワークなので、ドライバーさんの力量も加味しながら進めます。
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舞い上がる落ち葉でスピード感を表現しました

箱根はクルマ撮影では定番中の定番の場所。フツーに撮ってもフツーにしかなりません。例えば、このランボルギーニ「アヴェンタドール」の写真。撮影時は道に落ち葉が溜まっていたのですが、風が吹いて落ち葉がブワーっと舞った瞬間だけ、シャッターを切りました。

いいロケ場所のストックはフォトグラファーの財産です

自動車雑誌での、比較試乗の撮影です。世界中でも砂浜の上を走れる石川県の千里浜は珍しい場所。最初は水際から遠かったので、無線でもう3台分幅ぐらい海側に寄って!と指示した覚えがあります。

朝日が差した一瞬のシャッターチャンスをとらえました

この時の撮影は、日の出を待ちながらランドローバー2台とカメラカーで首都高に。3人のドライバーの息がぴったり合ってないと難しいカットです。レインボーブリッジの上で朝日がたまたま雲間から差した瞬間をとらえました。当然そんなチャンスは一回きりでした。
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日の出時の光はその時々で異なるので要注意です

これは夏の撮影で朝3時集合。日の出時の撮影は難しくて、太陽が昇る前の光がキレイな時もあれば、登ってからがキレイな時もあります。この911はイメージ通りに朝日が昇ってきた、そんな一枚でした。

悪天候も撮り方によっては見方になります

雨のロケで、天気を活かす方法を考えながら撮影しました。自分のクルマが先行して、ここぞという場所で降りて撮って、また走ってポイントを探す。ここを曲がればいい背景が現れるのでは?という勘は、けっこう働く方だと思っています。

ドライバーの技量があってこその作品です

動画が撮れるほど長い時間、カウンターを当てて水煙が上がっていないと、こういう躍動感のある写真にはなりません。これこそドライバーさんの力量があってこそ。撮らせてもらった一枚です。
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高層ビル群の眩い光を背景にして非日常感を演出しました

クルマはレクサス「LC」。マイアミっぽい非日常感とスーパーカーがマッチする背景を選びました。もともと、目をつけていた場所です。日本でこういう場所は、ありそうでなかなか見つけられないんです。

乗り込み撮影時には前走車との距離に注意しましょう

ロードムービーというか、映画のワンシーンのように撮りたかった一枚。マニュアル車で、ドライバーさんがシフトアップする瞬間を狙いました。ポイントは前走車との距離を見て、なるべく抜けを作ったことです。

夜撮時はボディに何を写し込めるかがポイントです

夜撮は大好きです。でも夜に黒いクルマを撮っても何も写らないので(笑)、映し込めるものは何か、考えます。この時はマセラティ「クアトロポルテ」の艶感を出したくて、橋の欄干や骨組の光が、ボンネットやサイドに流れるようにしました。
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被写体とはミスマッチなロケーションで特別なイメージを演出しました

クルマはホンダ「NSX」で、編集者さんからのオーダーは「ブレードランナーのアジア版のイメージ」。探しておいた場所で撮りました。とはいえ実際に撮れる区間は100m足らず。チャンスの限られた中での撮影でした。

ボクスターの疾走感を斜め45度の理想的な半逆光で表現しました

ポルシェ「ボクスター」を追っかけ撮影した一枚。光も斜め45度の理想的な半逆光でした。抜けというか、クルマが向かっていく軌跡を感じられる写真が、僕は好きです。

● 柏田芳敬

18歳で北畠主税氏、清水勇治氏に師事し、21歳の時に独立。「Men's Precious」、「GQ JAPAN」、「SENCE」などの男性ファッション誌、「ENGINE」や「LE VOLANT」などの自動車雑誌のほか、広告や音楽関係の撮影も多数。
公式サイト/www.kashiwadayoshitaka.com

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『自動車写真家が撮る、美しいクルマ』

【1】クラシックカーは、自然な光を意識することでさらに美しくなります
写真家の奥村純一氏はヒストリックカーを中心に、それらを時にはノスタルジックに、時にはアバンギャルドな被写体として表現する第一人者だ。そんな写真を撮るうえで心がけていること、そしてポイントは? 作品を例に具体的に解説していただいた。

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