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2018.03.10

世界最高峰のクラシックカーはどのようにして選ばれたか。

2018年2月8日に発表された、世界最高のクラシックカーに送られる「ザ・ペニンシュラ クラシックス ベスト オブ ザ ベスト アワード」。今回で3回目となる同アワードの受賞車、1936年製ブガッティ タイプ57SC クーペ・アトランティックの詳報をお届けします。

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文/前田陽一郎(Adelaideclassifieds.JP)

1963年型のフェラーリ250GTOにおよそ56億円の価格がつき、日本では納屋から発見されたやはりフェラーリGTB/4が2億円以上で取引きされたりと、近年はクラシックカーにまつわる高額取引のニュースがあとを絶ちません。

確かにその希少価値を金銭的価値に置き換えると我々としてはわかりやすくはあるのですが、世界には数々のクラシックカーショーがあり、それぞれに独自の視点・価値観をもってベスト・オブ・ショーと呼ばれる”最高の一台”が決定されます。

ならば。世界中で“最高の一台”はどれなのか。そんな無邪気で壮大、かつ困難な選択をしようというのがザ・ペニンシュラホテルズを運営する香港上海ホテルズ社ほか世界屈指の自動車専門家たちによって設立された『ザ・ペニンシュラ クラシックス ベスト オブ ザ ベスト アワード』(以下ベスト オブ ザ ベスト)です。
 2014年8月にヨーロッパ初進出を果たしたザ・ペニンシュラパリ。授賞式を兼ねたプライベートディナー後、地下駐車場にて招待ゲスト限定のお披露目パーティーが開催された。
第3回目となる今回のアワードの授賞式が去る2月8日にパリのペニンシュラホテルで開かれました。受賞車は1936年製ブガッティ タイプ57SC クーペ・アトランティック。その模様はすぐさま世界中を駆け回り、目にした方も多いのではないでしょうか。

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世界最高峰の一台は実は身近な一台!?

受賞車両はシャーシ番号57374。タイプ57アトランティックの第1号として製造され、「アエロ・クーペ」という称号をもつ現存する唯一のモデルだそう。同車は、1936年に英国のヴィクター・ロスチャイルド氏(第3代ロスチャイルド男爵)に新車として納車され、その後今日に至るまでの82年間、ロスチャイルド氏の死後も少数のオーナーによって受け継がれてきた車両です。
ブガッティ タイプ57SC クーペ・アトランティック
受賞車に贈呈されたトロフィーは1934年製ロールス・ロイス・ファントムIIから着想を得てチェコを拠点とするガラス工芸ブランド「ラズビット(Lasvit)社」が製作したもの 写真/Cedric Canezza
さてこのブガッティ タイプ57SC クーペ・アトランティック。実はクラシックカーにあまり興味がない方にとっても“身近”な存在です。

例えば昨年秋に公開された映画『スクランブル』。クリント・イーストウッドの息子スコット・イーストウッドが主演しているという以上に、世界でも有数の高額かつ希少価値の高いクラシックカーが登場することで話題となった映画でした。この映画の冒頭シーンで、その後の物語のきっかけとなるのがこのブガッティなのです。もちろん映画で使用されているのは(いくつかのウェブサイトによると)本物から型取りをして映画用に作成されたものだそう。

さらに、ファッション好きの皆さんならば、あのラルフ・ローレン氏が世界有数のクラシックカー・コレクターであることはご存じでしょう。氏のコレクションの中でも随一の一台こそ、ブガッティ タイプ57SC クーペ・アトランティックなのです。しかもラルフローレン・ウォッチの代表モデルである「ラルフローレン オートモーティブ コレクション」はタイプ57SCにインスパイアされて誕生したモデル。ラルフ・ローレン氏にとって、いかにこのクルマが特別な一台であるかということの証左と言えるでしょう。

ちなみにラルフ・ローレン氏所有のタイプ57SCは2013年の『コンコルソ・デレガンツァ・ ヴィラ・デステ』のベスト・オブ・ショーに輝いていて、この時ばかりは普段あまり人前に姿を見せない氏自らが運転、授賞式にももちろん出席しています。

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アワードにエントリーされた車両は…

話を今回の『〜ベスト オブ ザ ベスト』に戻すと、アワードにエントリーされたクルマは世界8大コンクールのベスト・オブ・ショーを獲得した8台。そのラインナップは以下のとおり。

1939年製アルファロメオ8C 2900Bスパイダー
(アメリアアイランドコンクールデレガンス-アメリカ)

1951年製フェラーリ212エクスポートガブリオレbyヴィニャーレ
(グランツーリスモ・フェラーリカップ・キャバリーノ・クラシック-アメリカ)

1929年製メルセデス・ベンツSロードスター
(ペブルビーチコンクールデレガンス-アメリカ)

1957年製アルファロメオジュリエッタスプリントスペチアーレプロトティーポ
(コンコルソ・デレガンツァ・ヴィラ・デステ-イタリア)

1957年製フェラーリ250GTガブリオレグッドウッド
(グッドウッドフェスティバル・オブ・スピードカルティエ・スタイル・エ・リュクス・コンクール・デレガンス-イギリス)

1964年製ATS 2500GTSクーペbyアレマノ
(ザ・クエールモータースポーツギャザリング-アメリカ)

1933/35年製ランチアアストラエアロディナミカクーペ
(コンクール・オブ・エレガンス-イギリス) _

権利関係の都合で写真が掲載できないのが残念ですが、ともかく上記8大コンクールはそれぞれがそれぞれの特徴をもっていて、そこで選ばれたベスト・オブ・ショーを受賞した車両はそのどれもが珠玉の一台であり、何をもってこれらからたった一台を選出するかは相当に困難だったそう。

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審査員の顔ぶれも世界最高峰だった!

故に審査委員総勢24名の顔ぶれがすごい。

マイケル・オブ・ケント王子(HRH Prince Michael of Kent/イギリス王室成員で、ケント公ジョージとマリナ妃の次男でエリザベス2世の従弟。現在は王室自動車倶楽部会長)という王族の方、ヘンリーフォード3世(Henry Ford III/フォード創業者ヘンリーフォードの玄孫)、ファッション界からはラルフ・ローレン(Ralph Lauren)、イアン・カラム(Ian Callum/ジャガー社デザインディレクター)やフラビオ・マンツォーニ(Flavio Manzoni/フェラーリ社チーフデザイナー)、ゴードン・ワグナー(Gorden Wagener/メルセデス・ベンツ社兼ダイムラーAG社チーフデザイナー)らの現役デザイナー、ジャン・トッド(Jean Todt/元FIA会長、F1フェラーリチーム監督)、日本からは中村史郎さん(Shiro Nakamura/日産自動車株式会社の元専務執行役員兼デザイン本部長)と奥山清行さん(Ken Kiyoyuki Okuyama/ピニンファリーナ社元デザインディレクター)などなど。
1936年製ブガッティ タイプ57SC クーペ・アトランティックとその所有者ならびにアワードの代表陣。アワード創立者は香港上海ホテルズ社の会長のマイケル・カドゥーリー卿のほか、クラッシックカーの権威として知られるクリスチャン・フィリップセン氏、クラシックカーコレクションの重鎮ウィリアム・E・チップ・コノール氏、アメリカのピーターソン自動車博物館でプレミアムクラシックカーのコレクションの主事を務めたブルース・メイヤー氏などの国際自動車の第一線で活躍する専門家たちだ 写真/Cedric Canezza

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近い将来、日本での開催も?

授賞式に参加されていた審査員の一人、中村さんは「それぞれのコンクールには各々色がありますから、一概にどれが一番、とは本来とても決定しにくいんです。審査員の好みも反映されますし。現に僕は別の一台を選出していましたから。つまり『ベスト オブ ザ ベスト』を獲得する車両というのはあらゆる面で審査員が一同に高い得点をつけた、文句のない一台というわけなんです。」と話してくれた。

アワード創立者のひとり、香港上海ホテルズ社会長のマイケル・カドゥーリ卿自身、著名なカーコレクター。“たくさんのコンテストがあるなかで、たった一台を選ぶなら”というあまりにも純粋な問いに対する答えがこのアワードであることは間違いない。
本年はこれも世界的に有名なクラシックカーの祭典『サロン・レトロモービル』に合わせてパリでの開催となったそうだが、関係者の話によるといずれ日本での授賞式が開催される可能性もあるのだそう。

全世界規模のクラシックカーブームがますますヒートアップするなか、日本のマーケットはどんな動きになっていくのでしょうね。

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