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2018.02.18

Porsche Cayenne

最新のポルシェ カイエンに試乗!スーパーSUVのパイオニアはどう進化したのか?

ポルシェ初の5ドアモデルであり、ハイパフォーマンスSUVのパイオニアでもあるカイエン。その最新型に試乗すると、ポルシェが目指すクルマづくりの方向性が見えてきた。

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文/金子浩久

基本的にキープコンセプトとなる新型カイエンのエクステリア

大きく変わったリアビュー

ポルシェ「カイエン」がフルモデルチェンジして、3代目に生まれ変わった。ひと足先にヨーロッパ仕様をギリシアのクレタ島で試乗してきたので、その印象を報告したい。
 
まずスタイリングだが、ひと言でいえばキープコンセプトである。シルエットはひと目でカイエンだと分かるほど、2代目と見分けがつきにくい。フロントグリルやヘッドライト周辺の造形も、極力2代目のイメージを継承しようとしている。
 
しかし、リアスタイルは大きく刷新された。特徴となっているのは、横一線のガーニッシュとテールライトユニットで、これは先にフルモデルチェンジを受けた「パナメーラ」と同様のデザイン処理である。フロントやサイドの造形は先代を踏襲する3代目カイエンだが、リアビューについては、新型へと進化したことを強く印象づける仕上がりだ。
スイッチ類がタッチパネル化されるなど大きく進化したインストルメントパネル
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パナメーラの影響を大きく受けたインテリア

ドアを開けてドライバーズシートにおさまる。インテリアを見回すと、リアビューと同様、新型パナメーラの影響が大きいことに気づく。例えば、2代目ではセンターコンソールのシフトレバーの両脇にたくさん並んでいたボタンやスイッチ類は、キレイにタッチパネル化された。また、多くの操作がボイスコントロールによって行われるようになったのもパナメーラに準じている。
 
ポルシェに限ったことではないけれども、現代のクルマは多機能化が著しい勢いで進んでいる。装備されるデバイスも増加の一途で、それらの操作系をどう整理整頓するかが各社の開発陣の腕の見せどころになっている。タッチパネルやボイスコントロールは、いずれもそうした要請への解決策なのだ。例えば、ボルボやランドローバー、そしてテスラのように、タッチパネルやボイスコントロールに操作系を集約させることで、極限までボタンやスイッチ類を減らす急進派もいる。その点、ポルシェは慎重派に入るだろう。
 
ところで、僕ら日本人にとって切実なのは日本語音声入力のクオリティなのだが、3代目カイエンは反応が正確かつ素早く、他メーカーと変わらぬ最新レベルにあることが確認できた。

ディーゼルとプラグインハイブリッド・モデルは遅れてデビュー

新型パナメーラに通じるデザインに刷新されたリアビュー
今回発表された新型カイエンのラインナップは3モデル。スタンダードの「カイエン」、高性能版の「カイエンS」、そして超高性能版の「カイエン・ターボ」という顔ぶれだ。
 
まずパワートレーンは、それぞれ異なるエンジンを搭載。カイエンには3.0リッターV6・ターボ、カイエンSには2.9リッターV6・ツインターボ、そしてカイエン・ターボには4.0リッター・ツインターボが与えられている。一方、トランスミッションは全モデル共通で「ティプトロニックS」8段AT(トルクコンバータータイプ)を採用。駆動方式も4WDのみとなる。

「2代目から大きく進化させたプラグインハイブリッドモデルと、2代目に設定されていたディーゼルの進化版が今後、追加されます」
 
開発エンジニア氏はそう言って、我々ジャーナリストたちに、今後ラインナップを拡充していくことを認めた。
ボディサイズは全長4,918(ターボは4,926)× 全幅1,983 × 全高1,696(ターボは1,673)mm
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“カイエンらしさ”は健在

ポルシェが用意した試乗コースは、クレタ島の一般道が中心だった。まずカイエンで走り出すと、スポーティな運転感覚がさらに研ぎ澄まされたことが分かった。フルモデルチェンジに際し、非常に多くの改変が盛り込まれた新型だが、
“走り”においては“カイエンらしさ”をすぐに体感できた。
 
例えば、カッチリと剛性感たっぷりのシャシーと、引き締められたサスペンションにより、ドライビングフィールはスポーツカーそのものなのだ。ステアリングホイールの手応えもシャープかつ精妙で、大きなSUVボディを正確に導くことができる。
 
前後で異なるサイズのタイヤを装着し、4WS(4輪操舵)を標準装備したことによる効能も明確に現れている。さらに、先代以上にシャシーやボディにアルミ材を多用し、軽量化を果たしたことも効いているだろう。ドライバーの入力に対するクルマの動きにあいまいなところがない。
向かって左からカイエンS、カイエン・ターボ、そしてカイエン

カイエンとカイエンSの違いとは?

最高出力340psを発生するカイエンの3.0リッターV6・ターボと、ターボチャージャーを2つ装備し440psを得る、カイエンSの2.9リッターV6・ツインターボ。その違いが気になる読者も多いだろう。今回、空いた一般道を走った限りでは、パフォーマンスの差を体感することは難しかった。
 
明らかに違うのは、サウンドと加速感のなめらかさだ。カイエンに対して、カイエンSのエンジンサウンドはアクセルペダルを踏み込んでいった時の響き方がキメ細かく、パワーの出方もスムーズだ。
 
日本仕様の価格を見ると、カイエンが976万円に対してカイエンSは1288万円で、カイエンSが300万円以上も高い。両車が最も異なる点は、エンジンサウンドと加速感のなめらかさにある。カイエンでも十分以上の速さを誇っていることを鑑みると、加速時の情緒面での違いが価格差の大半を占めることになる。
フロントが10ピストン、リアが4ピストンのアルミモノブロック固定式キャリパーが、550psという圧倒的なパワーを受け止める
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孤高の存在であるカイエン・ターボ

一方、その後にステアリングを握ったカイエン・ターボは別格だった。550psというハイパワーがもたらす加速感はまるで猛獣のような力強さで、それをコントロールするブレーキやサスペンション、シャシーなどもさらに磨きがかけられていた。
 
4.0リッター・ツインターボが奏でるサウンドは独特の響きと迫力を持ち、ひとたびドライバーがホンの少しでもアクセルペダルを踏み込めば、ビビッドに反応する。それでいて、ドライビングモードをノーマルにセレクトした際の乗り味は優しくソフトだから、街中をスローペースで流すようなシーンでは、上質な乗り心地に堪能できる。
 
カイエンとカイエンSは比較対照してみる気になるが、カイエン・ターボはそれらを圧倒するパフォーマンスと魅力を持っている。だから、価格だって1855万円とカイエンの倍近い。高価なだけのことはあると納得させられた。
後席も充分なスペースが確保されている

ウィークポイントが見当たらない

今回、オフロード性能については限られた状況でしか試せなかった。とはいえ、路面ごとに出力特性と駆動力配分を変化させる制御方式は先代モデルを発展させたものだから、十分以上の性能が確保されていることだろう。
 
昨今のクルマにとっては無視できない要素となっている、運転支援デバイスとコネクティビティの拡充についても、先行したパナメーラ譲りだ。また、荷物の積載量は先代より100リッター増えるなど利便性も向上している。つまり新型カイエンには、総合的に判断してウィークポイントが見当たらないといっていい。スポーティな走りをはじめ、先代からのカイエンらしさを引き継ぎつつ、そこに矛盾なく新たな価値を加えることに成功している。あらためて、日本仕様に早く乗ってみたいと思わずにはいられない仕上がりだった。
 
ちなみに、高速道路や自動車専用道を走ることができなかったので、運転支援デバイスを試す距離も短かった。この点は、次の機会に試してみたい。
カイエン・ターボのメーターパネル。中央のタコメーターはリアル、その左右はバーチャルとなる
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新たな価値となる運転支援デバイス

先代までのカイエンオーナーならば、今回のモデルにきっと魅力を感じるだろう。SUVでありながら、911やボクスターを彷彿とさせるスポーティな運転感が備わり、実用性も高いというカイエンの美点を、新型は余すことなく継承しているからだ。もちろん、カイエンに乗ったことのない人にとっても、新型にはポルシェブランドに期待するものがすべて具現されているから、魅力的な選択肢となるだろう。
 
どちらの人々にも新たな価値となるのは、アクティブクルーズコントロール(ACC)やレーンキーピングアシスト(LKAS)などの運転支援デバイス、LEDヘッドライトなどが標準装備されたこと。これらは新型カイエンならではの大きな特長である。
リアシートからもエアコンをコントロールできる

ポルシェといえども、クルマの知能化に積極的に取り組む時代

すでに、スポーツカー系の911やボクスター、ケイマンなどにも与えられている「ポルシェ・コミュニケーションマネージメントシステム」(PCM)は、インターネットへの常時接続を実現した、現代のクルマにとってはおなじみのアイテムだ。もちろん、新型カイエンにも標準装備されている。つまり、ポルシェといえども、クルマの知能化に積極的に取り組む時代が訪れたのだ。
 
今やポルシェ社の大黒柱に発展したカイエン。その新型では、先代以前の美点が進化し、そこに知能化という新しい価値が盛り込まれるなど、まさに万全の構えを見せていることが、今回の試乗を通して分かった。
 
初代はポルシェ初のSUVとして、初の5ドア車として、そして初の非スポーツカーとして気合いが入った力作で、今日のSUV像の原点を構築した。2代目では副変速機が省れて軽量化も実現。ややオンロードユースに軸足が寄せられつつ、プラグインハイブリッド版も追加された。3代目は2代目を継承しつつ、現代のクルマとして抜かりなく運転支援とコネクティビティを備え、安全性の向上と自動化が図られた。日本仕様の導入は2018年中頃が予定されている。

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