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2017.12.18

ポルシェはなぜどこから見てもポルシェになるのか? そのデザインの秘密とは?

今年3月のジュネーブモーターショーでワールドプレミアされ、東京モーターショーで日本デビューを果たした、ポルシェの最新モデル「パナメーラ スポーツツーリスモ」。そのエクステリアデザインを担当した山下周一さんに、同モデルのデザイン的なポイントや、ポルシェデザインの特徴などについて話を聞きました。

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文/原 アキラ 写真/荒川正幸

東京モーターショーのポルシェブースで、プレス陣にたいしてプレゼンテーションを行った山下周一さん

どこからみてもポルシェだとわかることが絶対条件

東京モーターショー2017のポルシェブースで日本初公開されたのが、「パナメーラ スポーツツーリスモ」。4ドアサルーンであるパナメーラのリアシートと荷室を拡大したいわゆるシューティングブレークタイプで、単純にワゴンと呼ばないところがポルシェのラグジュアリーモデルたるゆえんです。

スポーツカーでありながら人も荷物もたくさん載せられて、しかもカッコいい。そんなクルマのエクステリアデザインを担当したのは、実は日本人なのです。現在はポルシェのヴァイザッハ研究開発センターに在籍するデザイナーであり、今回の東京モーターショーのために帰国した山下周一さん。多数の報道陣に囲まれた記者発表会を終えた直後にお話をうかがいました。
リアスペースをキープしつつスポーティに見せるため、長い時間をかけて悩んだという山下さん
まず、新しいパナメーラスポーツツーリスモのデザイン面での特徴とはどんなものなのでしょう?

「ポルシェのDNAともいえる、どこからみてもスポーツカーに見える、ポルシェとわかる。そこは絶対条件です。そのためフロント部は、左右の盛り上がったフェンダーとV字型のシャープなボンネットが911を想起させ、4ポイント式のヘッドライトはWEC(世界耐久選手権)に出場中のレーシングカー、919ハイブリッドをイメージしました」と山下さん。一方で苦労したのがスポーツツーリスモのリアデザインだといいます。
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「リアシートを2+1として5人乗り(サルーンは4人乗り)にし、ラゲッジルームを拡大しています。そのリアスペースをキープしつつ、スポーティに見せたい。このため長い時間をかけて悩み、描き出したのが、後方に向かって絞り込まれたCピラーのラインとワイドなリアフェンダーといったスポーツカーライクな部分です。また美しいルーフラインを保ちながら高いダウンフォースも獲得したい。その解決策として、格納式のアクティブリアスポイラーを採用しました。ルーフとリアガラスのあいだに装着しましたがいかがでしょうか?」

そう語る山下さんの表情には確かな自信が感じられました。今回手がけたスポーツツーリスモの仕上がりに、デザイナーとして満足している証左なのでしょう。
後方に向かって絞り込まれたCピラーのラインとワイドなリアフェンダーといったスポーツカーライクなデザインがスポーツツーリスモの真骨頂
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911はメリットでもあり、呪縛でもある

ところで山下さんは、ポルシェに移籍する前には、メルセデス、サーブのデザイン部門でキャリアを積んできました。そこでポルシェが、これまでのブランドとは違うと感じたことはあるのでしょうか。

「メルセデス・ベンツとサーブで仕事をした後、2006年からポルシェでエクステリアデザインを担当し、11年になります。ポルシェでは、何と言ってもデザインに対して経営陣からの要求が非常に厳しい、という点が他と違うところでしょうか。特にトップレベルの人間からデザイナーまでが一同に会する経営会議においては、ボディの細かなライン一つについても議論が行われ、そこでダメ出しされることもあるのです」

では、ポルシェといえばデビューから50年以上にわたって同社の主要モデルとして君臨しつづけている911があります。「ポルシェ=911」というイメージが山下さんに与える影響はあるのでしょうか。

「メリットでもあり、呪縛でもあります。ただ、911のDNAを絵にするのは楽しい仕事なのです」
美しいルーフラインを保ちながら高いダウンフォースするため格納式のアクティブリアスポイラーを採用
911のDNAを守っていくことは、ポルシェのデザイナーである山下さんいとって、ひとつの責務なのでしょう。しかしながら、いま自動車は大きな変革期を迎えています。ポルシェとて同様で、今後、EVなど新しいパワートレインが導入され始めると思いますが、それがポルシェデザインにどのように反映されるのでしょうか?
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「エンジン、つまり内燃機関は冷却のために大きなエアインテークが必要ですが、モーターならそれほどでもありません。そうなると、フロント部分などではデザインの自由度が増します。とはいえ、やっぱりどこからみてもポルシェであるというデザインのDNAは貫かれるはずです。ミッションE(ポルシェEスポーツのあり方を示すコンセプトカー)が良い例でしょう」

ところで、今回のポルシェブースには、純白の美しい「ポルシェ356スピードスター」が展示されていました。創業者のフェルディナンド・ポルシェ博士が「私の理想である小型軽量でエネルギー効率に優れたスポーツカー。探しても見つからなかったので自分で造ることにした」として1948年にデビューしたクルマです。新しい時代のポルシェデザインを担う山下さんにとって356とはどのような存在なのでしょう?
東京モーターショーのプレスカンファレンスのために来日した山下周一さん。ポルシェのヴァイザッハ研究開発センターに籍を置く
「現在のポルシェデザインのDNAである911の原点、というか、そのもう一つ前のもの。祖父というべきものでしょうか。現代のクルマはハイパワーでボディも少し大きくなりましたが、コンパクトなスポーツカーは私も大好きです。昔『ミアータ』(マツダ ロードスター)に乗っていたことがあるのですが、アンダーパワーでも小さくて操縦性がよいので気に入っていました」と、一人のクルマ好きとしての表情を見せる山下さん。

インタビューを終え、会場のパナメーラスポーツツーリスモとともに写真撮影をお願いしましたが、山下さんが自ら進んでポーズをとったのはやはりリアサイド側でした。苦労して生み出した後部のデザインに対して、特別の愛着があるのは当然でしょう。

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