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2016.02.08

ラグジュアリーな社交場として個性化の時代へ 〜Vol.1〜

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いま自動車メーカーさえも視線を注いでいるのがヒストリックカーの世界だ。

そこで、今回は世界各地のカーイベントに自ら足を運び取材を行った本誌編集長の前田とモータージャーナリストの九島氏がそんな魅惑の世界を徹底リポートする。

2015 THE QUAIL MOTOR SPORTS GATHERING

グラスを手にスーパーカーを楽しむ祭典

モントレー半島のゴルフリゾート『ザ・クエール ロッジ&ゴルフ クラブ』で開催される。その名のとおり、新旧のスポーツカーの祭典。15回目を迎えた今回はデビッド・ブラウン・オートモーティブやシンガー・ビークルデザインなどいま話題のビルダーも参加し、さらにその存在感を増しつつある。

マニアックな雰囲気も油の臭いもしない3つのヒストリックカーイベント

ここ数年の中古取引価格の高騰、フェラーリやポルシェなどプレミアムメーカー各社によるパーツの再供給とメインテナンスサービスの開始など、ヒストリックカーを巡る価値観や環境の変化が話題だ。

それはヒストリックカーとの付き合い方や、各国各地で開催されるショー、ラリーイベントのあり方にも影響を与えているように思えてならない。ここではまずアメリカとフランス、ふたつの場所で開催されたヒストリックカーイベントを例にとって、変容するその関わり方を専門誌とは少々違った視点で見てみたい。
会場にはひっきりなしにプライベートヘリが行き交い来場者のクラスを否が応でも物語る。参加車両は歴史的スポーツカーに加え、フォーミュラカーにGT、WRC出場マシン、自動車メーカーのブースまであり、まさに新旧スーパーカー天国だ。
会場にはひっきりなしにプライベートヘリが行き交い来場者のクラスを否が応でも物語る。参加車両は歴史的スポーツカーに加え、フォーミュラカーにGT、WRC出場マシン、自動車メーカーのブースまであり、まさに新旧スーパーカー天国だ。
世界で最大規模を誇るのがアメリカ西海岸で開催される、モントレー・カーウイークだ。あの『ペブルビーチ・コンクール・デレガンス』がよく知られるところだが、実は“ウィーク”という名のとおり、美しい自然と富裕層の別荘が立ち並ぶこのモントレー半島はおよそ一週間に渡って、さまざまなヒストリックカーの展示、イベントが開催される。

なかでもあのザ・ペニンシュラホテルズが運営する『ザ・クエール・モータースポーツ・ギャザリング』は白眉だ。

一人600ドルという高額なチケットながら毎回チケットは発売と同時に瞬時に完売するという人気の秘密は、そこに集まるクルマもさることながら、そのホスピタリティによるところが大きい。なんと会場には世界各地のザ・ペニンシュラホテルズによるフードサービスが供され、白亜の大小のテントの下で美しいクルマを眺めながら、高級シャンパンとホテルクオリティの食事を楽しめるようになっている。
白いテーブルクロスが掛けられたテーブル&チェアのセットはまるでホテルのレストランを屋外に持ち出したような設え。会場に設営された巨大なテントではあのザ・ペニンシュラホテルズの香港、バンコク、ニューヨーク、シカゴ、ビバリーヒルズ、パリの各地の料理が振る舞われフリーフローのシャンパンサービスも楽しめる。
白いテーブルクロスが掛けられたテーブル&チェアのセットはまるでホテルのレストランを屋外に持ち出したような設え。会場に設営された巨大なテントではあのザ・ペニンシュラホテルズの香港、バンコク、ニューヨーク、シカゴ、ビバリーヒルズ、パリの各地の料理が振る舞われフリーフローのシャンパンサービスも楽しめる。
極度に制限された来場者数のおかげで会場にはゆったりとした空気が流れ、そのためか女性の来場者が多いことも特徴だ。チケットの価格からも当然来場者は比較的アッパークラスに限定されるだろうが、ともするとマニアックな男性のための、閉鎖的な空気さえ漂うイベントととらえがちな我々日本人のカーカルチャーに比すと、女性も楽しめるその雰囲気はむしろ開放感たっぷりで微笑ましい。

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ペニンシュラのカーラリー2017年に日本を走る!?

THE QUAIL CAR RALLY [ザ・クエール・カーラリー]

ペニンシュラのカーラリー 2017年に日本を走る!?

ザ・ペニンシュラホテルズグループを率い、ヒストリックカーの世界有数のコレクターでも知られるマイケル・カドゥーリー卿の声掛けによるカーラリー。至極プライベートな会でありながらも、そのラグジュアリーさで群を抜く。現在日本を含む世界での開催も視野にコース選定の段階だそう。カーツーリングのベンチマークになりそうだ。

それはまるで超豪華な仲間たちのツーリングのよう

前述したように、『ザ・クエール・モータースポーツ・ギャザリング』はラグジュアリーなホスピタリティで知られるが、その前日、前々日には同イベント関係者による『ザ・クエール・カーラリー』が開催されている。

これはラリーというよりも、同ホテルにゆかりのある友人・知人らが参加する至極プライベートな、言わばツーリングのようなもの。だから参加するクルマに明確な条件はなく、競技色も完全に排し、いわゆるチェックポイントもない。ただやるなら徹底的に楽しもうというのがいかにも本場。

その優雅な世界はやはりクルマを取り巻く文化の違いを感じずにはいられない。例えば前夜祭。禁酒法時代のシカゴをテーマにしたパーティは、男性なら当時のギャングスタイルを意識したスーツ、女性はこれも当時流行したきらびやかなヘアバンドにイブニングドレスを纏い、そこにはクルマを感じさせる要因はひとつもない。
  休憩ポイントにはホテル並みのサービスとフードが用意されるほか、参加者には豪華記念品、ドライビングジャケットなどが配られた。主催のマイケル・カドゥーリー卿自身も参加、皆を先導!
 休憩ポイントにはホテル並みのサービスとフードが用意されるほか、参加者には豪華記念品、ドライビングジャケットなどが配られた。主催のマイケル・カドゥーリー卿自身も参加、皆を先導!
ラリー自体も同様で、休憩ポイントは海を見渡せる豪奢な別荘や山中のエコフレンドリーなホテル、コースは高低差のある適度にワインディングした丘陵地帯が設定される。そう、それはまさに豪華なツーリング。クルマは本来走らせてナンボのもの、それを所有する者がいかに楽しむかがカーラリーの基本なら、それを徹底しようじゃないかという意図がはっきりと読み取れる。

ちなみに2017年にザ・ペニンシュラ東京の開業10周年を記念して日本で開催できないかとの検討がなされているらしい。いつ、どこを走るか、参加資格は、など詳細は未定ながら、開催されたらぜひ同行したいものだ。

CHANTILLY ARTS & ELEGANCE [シャンティイ・アーツ&エレガンス]

ペニンシュラのカーラリー 2017年に日本を走る!?

『ル・マン・クラシック』を主催することでも知られるリシャール・ミルによるシャンティイ城を舞台にしたヒストリックカーイベント。ドレスコードに加えピクニックのスタイルコンテストもあり、「クルマとファッションとライフスタイル」を提唱する新しいスタイルのイベントとして今後が注目される。

主催のリシャール・ミル本人は1967年のブラバムで参加。イベント初日にはポロのエキシビジョンゲームも行われるなどクルマだけではない楽しみで満載のイベントという点が面白い。
主催のリシャール・ミル本人は1967年のブラバムで参加。イベント初日にはポロのエキシビジョンゲームも行われるなどクルマだけではない楽しみで満載のイベントという点が面白い。

むしろ女性が楽しめる優雅でお洒落なイベントへ

他方パリの郊外、歴史ある競馬場で有名なシャンティイ城で開催される『シャンティイ アーツ&エレガンス』は、今回でまだ2回目であるにもかかわらず「近い将来ヨーロッパで屈指のヒストリックカーイベントになる」と海外の著名なカーコレクターが評すほどの注目のイベント。

ポイントはシャンティイ城の圧倒的な優雅さと、参加者に課せられた「男性はジャケット着用、女性はハットの着用が望ましい」というドレスコードだ。いかにもフランスならではの洒落たドレスコード(ちなみに一般来場者は自由)だが、これはつまり隣接する競馬場でのドレスコードにほかならない。

その結果会場にはクルマに負けず劣らずの美しい装飾を施したハットでお洒落した女性の姿が目についた。会場で数名の女性に声をかけさせていただいたが、皆さんクルマよりも周りの女性たちのファッションに興味津々のご様子で。ちなみにフランス語でクルマは女性名詞ゆえ、前述のカーコレクター曰く「結局男性は美しいものに目がないからね」と。
さて、この『シャンティイ アーツ&エレガンス』の主催はあのリシャール・ミル。エクストリーム=超絶を旗印に機械式時計の概念を覆すモダンデザインと斬新な機構で、瞬く間に世界の富裕層の支持を得たブランドが、そのイメージとは真逆にあると思える価値のために尽力していることが興味深い。

これら事例を富裕層のお遊びと括るのは簡単だ。けれどもヒストリックカーイベントはマニアのもの、男性だけのもの、油臭いものなどという固定観念を払拭することこそカーカルチャー先進国への第一歩じゃないだろうか。
文/前田陽一郎(本誌)、九島辰也
※本特集は2016年1月号で掲載した企画の抜粋です。

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