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2019.04.21

レクサスが見るデザインと未来とは? ミラノ・デザインウィーク2019

優れたデザインが世界中から集まり、ミラノの街がお祭りになる「ミラノ・デザインウィーク2019」が2019年4月8日から14日にかけて開催された。そこでレクサスが提案したものとは?

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文/小川フミオ

真鍋大度率いるライゾマティクスのインスタレーションが象徴した、今年のテーマとは?

コラボレーションデザイナーにアーティスト集団Rhizomatiksを迎えたインスタレーション「LEADING WITH LIGHT」
優れたデザインが世界中から集まり、ミラノの街がお祭りになる「ミラノ・デザインウィーク2019」が2019年4月8日から14日にかけて開催された。注目はやはりレクサスだった。

レクサスでは、毎年、ミラノを舞台に「レクサス・デザインアワード」の展示とグランプリの発表、それにユニークなインスタレーション(一時的な展示)を見せてくれる。

2019年のインスタレーションは、コラボレーションデザイナーに、あのライゾマティクスが起用された。そう書くと、”あ、光がテーマ?”とピンとくるひともいるかもしれない。

アーティスト集団ライゾマティクスは「LEADING WITH LIGHT」をテーマに、真っ暗な空間の中で光線とダンサーがからむステージ仕立てのインスタレーションを作りあげて大いに楽しませてくれた。

256灯というLEDのシャープなライトが、時としてダンサーを追いかけるように、また時としてダンサーの相手がそこにいるかのように床を丸く照らし出す。眼に見えない二人目のダンサーがいるかのようなパフォーマンスだ。
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暗闇に動く無数の光線が、人間の動きに呼応するようプログラムされたロボットやパフォーマーと一体に
「ヒューマンセンタード(人間中心)というレクサスのフィロソフィを聞いていたので、お客さんとダンサーを中心にライトを動かしました。難しかったのは、ライトが観客の顔に当たらないように動きを計算することでした」

ライゾマティクスのアーティスト、真鍋大度氏はミラノのトルトーナ地区に設置された会場で、そう話してくれた。初日オープン前からレクサスの会場前は入場待ちの長い行列が出来ていたほどの人気である。

同時に同じ会場で、「レクサス・デザインアワード」のグランプリ発表が行われた。2019年度は65カ国から1548にのぼる応募作品があったそうで、そこからファイナリスト(優勝候補作)は6つに絞られた。

2019年度は、社会や個人のニーズを「予見」し、「革新的」なソリューションで、観衆や審査員の心を「魅了」するアイディアを募集した、というレクサスの説明のとおり、骨太の作品が集まった。
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グランプリを受賞した米のリサ・マークス氏の作品はブラジャー。「Algorithmic Lace アルゴリズミック・レース」と名づけられている。「乳房切除手術を受けたあとを念頭においてデザインしました」というマークス氏は言う。
「テクノロジーを創造的に活用し、未来とイノベーションを予見させながらも人に寄り添う、Human-Centered(人間中心)なプロダクト」と評価された米のプロダクトデザイナー、リサ・マークス氏の「Algorithmic Lace」
乳がんサバイバーのために、本来の身体の美しさを尊重しながら、自分の身体に合った快適な下着としての機能を実現するのが目的だ。3Dモデリングで身体にフィットした造型をし、伝統的な手工芸のレースで編み上げるという。

タイトルに入っているアルゴリムとは物事を進めるための手順などを意味する。レース産業などでは作業を段取りよく進めるため19世紀から採用されていた考えだという。

「デザインとは使用者とテクノロジーを美しくつなげることだと思っています。しかも人間中心でなくてはいけない。その考えかたにぴったりくる作品を選びたかったのです」
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中国の若手プロダクトデザイナー、シュージャン・ユアン氏の「Hydrus」は沖合の重油流出事故に対する応急回収装置
レクサス・インターナショナルの澤良宏プレジデントは、授賞の理由について語る。2019年度は優秀な作品ばかりで選考は本当に苦労したと、嬉しそうな笑顔も見せてくれたのだった。

ファイナリストは5つ。アイディアがおもしろいので、ここで紹介しておこうと思う。

フィリピンのジェフリー・デラ・クルス氏は、地洪水被害が大きな懸念である低地のために、水位が上昇しても居住し続けることができる住宅システム「Baluto」を提案した。現地で手に入りやすい竹などの素材でパーツを作り、ユーザーが自力で組み立てられる点も特徴だ。
社会的空間と空間テクノロジーに焦点を当てている豪州の設計会社Prevalentの経営者であるベン・バーウィック氏が提案する、効率よく太陽光を使うための「Solgami」
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トルコのレザン・ハソグル氏による「Arenophile」は、これまで活用されていなかった砂漠の砂で産業素材を作るという考えだ。ガラスなどの物質を混ぜ合わせ複合材料を生成するそうだ。

ロシアのディミトリー・バラショフ氏は、航空機が離陸する際に噴射する膨大な風力を収集する風力発電機のような機械「グリーンブラストジェットエナジー」を考えた。1機が離陸するだけでスマートフォンを1200回充電できるとか。

中国は広州出身のシュージャン・ユアン氏は重油流出事故の後始末に着目した。「Hydrus」と名づけたソーセージ状の個体(長さ2.4メートルで、30センチ径を想定)を航空機から現場に投下。各個体は自動的に接続しつつ、内蔵されたスキマーや分解菌を用いて迅速に海上の油を回収・分解する。
LEDのセグメント数によらずより細かい遮光制御を可能とするブレードスキャン方式採用のハイビーム可変ヘッドランプ(レクサス車に搭載予定)も会場に展示され、ペンライトを持つ来場者は遊び感覚で機能を確認できた
豪州のベン・バーウィック氏は、太陽光の反射を室内に取り込むことによる照明効果と発電効果を兼ね備えた個人宅向けの「Solgami」を設計した。従来のソラーパネルではなんと66パーセントの太陽光を反射してしまうため、内部の面をオリガミのように複雑に曲げることで、太陽光をより効率よく発電に利用することが出来るという。
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2013年に創設されたレクサス・デザインアワードは、世界中の新進気鋭のクリエイターに焦点を当てる国際的なデザインコンペとして定着してきた。ここから巣立ったデザイナーも少なくない。
ミラノ・デザインウィーク初日には朝10時の開場を待つ長い列が出来た
デザインとは神の意志をかたちに置き換えることだとミケランジェロはとらえていた。モダンデザインは、少し異なる。バウハウスが多くのひとが住めるようにと住宅の規格化を進めたり、著名なデザイン評論家ビクター・パパネックが、家事をする女性のために昇降可能なキッチンシンクを提案したりと、問題解決の手段とされてもいる。

2019年にレクサスはミラノで、美しいだけではない、感動から社会問題解決まで、デザインの持つさまざまな力を見せつけてくれた。それは特筆に値すべきことだ。
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● 小川フミオ / ライフスタイルジャーナリスト

慶應義塾大学文学部出身。自動車誌やグルメ誌の編集長を経て、フリーランスとして活躍中。活動範囲はウェブと雑誌。手がけるのはクルマ、グルメ、デザイン、インタビューなど。いわゆる文化的なことが得意でメカには弱く電球交換がせいぜい。

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