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2019.02.17

【試乗】新型BMW 8シリーズ。それは最良のおもてなしクーペだった!?

BMWの8とえいば特別なマシンに与えられる称号。その最新シリーズが登場した。果たしてその使い勝手、性能はどうだったのか? 小川フミオがリポートする。

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取材・文/小川フミオ

390kWと750Nmの4395ccのV8をフロントに搭載

それは大人のラグジュアリークーペだ

BMWの新型「8シリーズ」が2018年11月9日より日本発売された。ひとことで表現すると、大型でエレガントでぜいたくなクーペである。もうひとつつけ加えるなら、運転が楽しい。

私は日本発売に先駆けて、ポルトガル・リスボンで「M850i xDrive」に試乗した。日本に入ってくるのと基本的には同じ、4.4リッターV8にフルタイム4WDを組み合わせたモデルである。

「ラグジュアリークーペとスポーツカーのいいところを併せ持ったクルマにしたかった」。リスボンの試乗会で話しを聞いた、開発に関わったプロジェクトマネージャーの言葉である。

従来はBMWの大型クーペは6シリーズだった。ただし折りに触れて、BMWでは8シリーズ(1990年)やZ8(2000年)といった車名に8がつくモデルを市場に投入していた。
空力のための形状をしたトランクリッドに立体的な造型のリアコンビネーションランプが組み合わされている
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どれも乗るといいクルマだった。V8搭載の840iはよく回るエンジンに、楽しい操縦性能の組み合わせで、おそらく今乗っても魅力的だろう。

いっぽうあえてレトロな感覚を残したスタイリングと、おそらく現代のクルマの中では最もはやくプッシュボタン式のスターターを採用というモダンさを併せ持っていたのがオープンのZ8だ。いまネオクラシックの市場で価格が急上昇している。しかしどちらも市場での大ヒットは記録していない。

今回の新型8シリーズも、将来から振り返っての評価はもちろんわからないが、乗るといいクルマである。

7シリーズのシャシーの一部を使うものの、サスペンションは(7シリーズのように)フルエアにせず、「スポーツドライビングのためにあえて金属サスペンションを採用」と技術者は説明している。

私はポルトガルのワインディングロード、高速、それにエストリルサーキットでM850i xDriveを試した。
ルーフの前後長を極力短くしてキャビンを小さくしスポーティさを強調したシルエットだ
低い着座位置のシートに腰をおろし、エンジンスタートボタンを押すと、一瞬のキュルッというクランキングのあと、破裂するような音とともにエンジンがめざめる。

「これはすごいスポーツカーか!」と思うのだが、オンロードでの印象は、どちらかというと快適志向が強く感じられる。

たしかに750Nmもある最大トルクは、軽合金を多用して1.8トンに抑えた車重のボディには充分すぎるほどだ。アクセルペダルはほとんど踏まなくても、強いダッシュ力をみせるのだ。

ただし、乗り心地にゴツゴツ感はなく、カーブではそれなりに車体はロールする。ステアリングホイールを切り込んだときの反応はすなおだが、シャープというほどではない。

BMWではライバルとして「アストン・マーティンDB11」の名をあげていたが、もちろん、アストン3姉妹(ほかにヴァンティッジとDBS)のなかではもっともマイルドとはいえ、DB11のほうがスポーツカー度は高い。
機能主義的なコクピットで、シフトノブは透明なクリスタルが組み合わされている
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スポーツモードにすれば駆け抜ける喜びが!?

M850i xDriveは高速を遠くへ出かけたり、繁華街で目立つには最適の乗り物といえる。静粛性も高く、ぜいたくな作りのインテリアは、新しいインフォテイメントシステムも備え、娯楽性もしっかりある。

太いトルクにのっかって、リラックスしてドライブするのに、適度なスポーティさを持つ操縦感覚がよくマッチしている。BMWが得意とする一級のグランツーリスモだ。

オプションで素材や色を選び、自分好みの仕様に仕立てるのを楽しむクルマでもある。後席スペースはおとなには窮屈だが、大事な荷物を運ぶときにもありがたい。

とはいえ、である。さきに触れたように、リスボンでのテストドライブには、かつてF1グランプリが開催されていたエストリルサーキットも含まれていた。

私は公道のドライブで、M850i xDriveのことがわかったつもりになっていた。しかしサーキットでは期待以上の走りのよさを体験させてくれた。

とりわけドライブモードセレクターで「スポーツ」あるいは「スポーツ+(プラス)」を選ぶと、ラグジュアリークーペとして使っているだけではもったいない性能が味わえるのだ。
いくつもの素材が組み合わされたシートは疲労が少なく、かつサポート性が高い
エンジンは回転を上げるにつれ、ぐんぐんと力を出していき、その加速感はスポーティだ。エンジン音がオーディオで増幅され、とりわけ排気音がバリバリッと勇ましい破裂音を響かせる。

コーナリング能力も高く、4WDはスポーツモードでは後輪へのトルク配分を多くするというだけあってハンドリングはほぼニュートラルで扱いやすいのが印象的だ。

タイトコーナーで失敗してステアリングホイールを少し切り遅れてしまったときに橫Gは感じるが、タイヤが音を立てるでもなく、無理なくそこを脱出できるのも驚きである。

サスペンションシステムに組み込まれたアクティブスタビライザーと、「Mアクティブディファレンシャル」の連繋効果も大きいはずだ。電子デバイスを効果的に使って、スポーツドライビングが楽しめるようにしている。

腕におぼえがあるひとには、逆にそこが物足りなく思えてしまうかもしれない。ま、操縦そのものを楽しみたいというひとは、この後発表される「M8」を待つといいだろう。

フロントマスク(とくにエアダム)などにゴツさはあるものの、シルエットはどちからというと優美で、私は女性のアスリートを連想した。
12.3インチのフルデジタルディスプレイが計器盤に採用されている
女性のなまめかしさが感じられるからといって完全に男性向けではない。居心地のいい室内を含めて、もてなし感がたっぷりある。荷室も広いので、遠出にも向いている。GTの本質をすべて備えたモデルなのだ。

安全運転支援システムもいろいろ搭載されている。なかでも興味ぶかいのは「リバースアシスト機能」だ。直前に前進したルートを50メートル記憶する。

そのあとリバースギアに入れて後退するとき、車両が自動で前進したルートどおり動いてくれるという。

「日本に多数点在する細い道に誤って迷いこんだ際など、安全かつ正確に、元のルートに復帰することが可能となる」とBMWではしている。私は未体験だが、大きなボディのクルマにはとりわけありがたい機能である。

本国にはディーゼルもあり、またごく最近コンバーチブルも搭載された8シリーズ。日本でのM850i xDriveの価格は1714万円と発表されている。
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● 小川フミオ / ライフスタイルジャーナリスト

慶應義塾大学文学部出身。自動車誌やグルメ誌の編集長を経て、フリーランスとして活躍中。活動範囲はウェブと雑誌。手がけるのはクルマ、グルメ、デザイン、インタビューなど。いわゆる文化的なことが得意でメカには弱く電球交換がせいぜい。

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